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2010年度 第26回 ACAP消費者問題に関する「わたしの提言」審査結果

null松尾彩加さん(佐賀大学経済学部)が内閣府特命担当大臣賞を受賞        印刷 印刷

社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)が募集・表彰する「消費者問題に関するわたしの提言」の受賞作がこのほど決定し、1月12日(水)、東京にて表彰式が行われました。

ACAPは、1985年から毎年、消費者問題に関する啓発活動の一環として、「わたしの提言」を募集しています。 26回目となる今回は、

  1. 守ろうよ、みんなを!~なくそう!高齢者の消費者被害~
  2. 消費者市民社会の実現に向けてすべきこと
  3. わたしが考える消費者教育
  4. 30周年を迎えるACAPへの期待
  5. 消費者問題に関する自由課題

の5テーマで募集したところ、昨年度に引き続き100編を超える応募がありました。

厳正なる審査の結果、佐賀大学経済学部3年生の松尾彩加さんが内閣府特命担当大臣賞を受賞されました。 2年ぶりに大臣賞に輝いた松尾さんの作品のテーマは、『守ろうよ、みんなを!~なくそう!高齢者の消費者被害~』。高齢者の被害が多い訪問販売業者の規制として「訪問販売の届出制」や高齢者に対する消費者教育のあり方、そして地元・佐賀県の消費生活に関する条例を紹介し、あるべき消費者行政のレベルを提言としてまとめています。


このほか、ACAP会長賞と入選には下記の作品が選ばれました。

入賞者の発表ならびに表彰式は、1月12日(水)午後、ホテルフロラシオン青山で開催したACAP創立30周年記念式典の席上で執り行われました。 なお、今回は応募者への連絡は表彰者のみとさせていただきました。たくさんのご応募ありがとうございました。

1.審査結果                                                    (敬称略)

題名 氏名 所属等
内閣府特命担当大臣賞 守ろうよ、みんなを!~なくそう!高齢者の消費者被害~ 松尾 彩加 佐賀大学経済学部3年生(佐賀県吉野ヶ里町在住)
ACAP会長賞 消費者教育の普及に向けた一考察 武石 誠 明治安田ライフプランセンター(株)(東京都八王子市在住)
入選 守ろうよ、みんなを!~なくそう!高齢者の消費者被害~


民生委員として私にできること、できたことから考える

浅見 豊美 民生・児童委員(東京都世田谷区在住)
入選 中古品を販売するオンラインショップの知覚リスク低減方法の考察 竹内 宏樹 愛知淑徳大学ビジネス学部3年生(愛知県半田市在住)




●内閣府特命担当大臣賞  
松尾 彩加さん (佐賀大学経済学部3年生・佐賀県吉野ヶ里町在住)
テーマ 「守ろうよ、みんなを!~なくそう!高齢者の消費者被害~」

[要旨]
これからも日本の高齢者の人口は増加する。このような社会の中で高齢者の消費者被害は、大変深刻な問題となる。そこで、特に高齢者被害の多い、訪問販売被害の解決策として3つの提言をした。
   まず、訪問販売業者への規制として、届出制を提言する。目的は被害を未然に防ぐことである。規制の必要性、内容、メリット、デメリット、という4つの観点から意見を述べている。消費者の権利は何よりも守られるべきものだということから、届出制が消費者から見て、負の作用に働くことはないということを強調する。
次に、高齢者に対する消費者教育について提言する。いちばん重要なことは、消費者が情報を得て、それをもとに判断をすることである。したがって、情報収集手段について、高齢者が日常生活の中で、いかに容易に情報を手に入れることができるかということについて、5つの方法を述べる。
最後に、消費者行政のレベル水準を全国統一することを提言する。これは前述している2つの提言の前提といえる。他県の模範となる佐賀県の消費生活条例を紹介し、あるべき消費者行政のレベルを示している。

●ACAP会長賞  
武石 誠さん (明治安田ライフプランセンター(株)・東京都八王子市在住)
テーマ 「消費者教育の普及に向けた一考察」

[要旨]
現在、消費者を取り巻く環境は大きく変化し、消費者は「消費者市民」としての大きな役割を担う時代になった。そのため消費者教育のあり方がこれまで以上に重要になってきた。
そこで、消費者市民として主体的に活動する能力としての「生きる力」の醸成を消費者教育の目指すべき方向性として指摘し、本論文で消費者教育普及に関し、3つの視点から提言した。
第一は消費者教育の位置づけと推進態勢の整備で、消費者教育の小中高の一貫教育と教育プログラムの策定について提言し、併せて消費者教育推進のプロジェクト特区を提言した。第二の問題は消費者教育の内容と担い手である。そこで学校教育における消費者教育の独立科目化を提言、さらに学校教育における展開のみならず社会人にまで拡大した生涯教育化を提言し、教育の担い手として教員養成段階での消費者教育の導入と専門家の活用を提言した。そして第三の消費者教育の実践スキームについてだが、小・中・高生、大学生、そして社会人という3つのライフステージに見合った具体的な教育モデルのあり方について具体的に提言した。
最後に、消費者教育普及に向け、消費者庁を中心とし地方自治体そして民間が一体となった推進態勢づくりが現下の喫緊の課題との認識を付言した。

●入選
浅見 豊美さん (民生・児童委員・東京都世田谷区在住)
テーマ 「守ろうよ、みんなを!~なくそう!高齢者の消費者被害~ 
民生委員として私にできること、できたことから考える」
[要旨]
民生委員を引き受けて10年目になる。最初の案件が、次々販売の被害にあっている一人暮らしの高齢者への対応であった。当初は中途半端な解決しかできなかったが、消費者問題について学ぶことにより、その知識を生かしながら解決をしていった。
その経験から学び、地域住民を対象に悪質商法に関する啓発活動に取り組むようになった。ボランティアの講師として啓発講座の講師をしている。視力・聴力・理解力が低下している高齢者向けの消費者啓発講座には特別な配慮が必要である。一つの話題は10分から15分単位として、1.契約について説明、2.悪質商法の手口の紹介、3.クーリング・オフ制度の解説、4.消費生活センターの紹介などを組み合わせる。手法もクイズ、寸劇、替え歌などを組み合わせ、飽きないで聴ける参加型が有効である。こうした講座は、高齢者に向けては、町会や生涯学習のサークル、また社会福祉協議会や地域包括支援センターなどが主催して行われることが多い。
しかし、介護サービスと無縁な、元気な高齢者で、地域の活動に参加することを好まない、孤立している高齢者は、この講座を聞く機会がない。しかも悪質な業者のターゲットはそういう高齢者なのである。消費者被害防止に何より有効なのは、地域が団結して悪質業者の入り込めない地域づくりをすることにある。地域再生こそ真の解決であると思う。

●入選
竹内 宏樹さん (愛知淑徳大学ビジネス学部3年生・愛知県半田市在住))
テーマ 「中古品を販売するオンラインショップの知覚リスク低減方法の考察」

[要旨]
近年急速なユビキタス化が進んでおり、オンラインショッピングによる取引が増加している。その一方で、オンラインショッピングは取引相手と対面しないため、通常の取引と比較するとリスクがいっそう高くなることが問題視されてきた。
その中で、消費者の「知覚リスク」が、オンラインショッピングをする際に購買行動を大きく左右しているとされ、注目されている。
知覚リスクとは、消費者が購買行動をする際に消費前後に発生する不安のことである。知覚リスクは特に中古品を扱う場合に消費者はより高く感じることとなる。
こうした背景から本稿では、商品の特性ごとに、その商品の持つ負の情報をどのように提示すれば、知覚リスクが低減するのかを、仮想HPを使ったアンケート調査によって検証した。
その結果、特に機能面が重視される商品について、負の情報の積極的な提示が消費者の知覚リスクを低減する、より効率的な方法だと分かり、さらに企業の印象にも良い影響を与えることが分かった。

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