■アンケート結果報告
JIS Z 9920「苦情対応マネジメントシステムの指針」への
取り組み状況調査と分析

  JIS「苦情対応MS」普及啓発プロジェクト
 JIS「苦情対応マネジメントシステムの指針」(以下「苦情MS」と略す)が平成12年10月に制定された。
ACAPでは昨年度、当普及啓発プロジェクトで「自社評価シート」を作成し、アンケートをとり、機関誌
『FORUM』に結果を掲載した。今年度も活動を継続し、「苦情MS」の普及啓発を促進し、会員企業及
び産業界全体への消費者対応のレベルアップを図っていく。会員各社の「苦情MS」の取り組み実態と対
応のための諸課題を把握し、今後の的確な情報提供・支援に役立てるためにアンケートをとった。

〈プロジェクトメンバー〉
青木(日清製粉グループ本社)、田中(日清オイリオグループ)、横山(キヤノン販売)、森(富士
写真フイルム)、嘉藤(三井ホーム)、高田(参天製薬)、角野(コープ品質管理研究所)、岡(コ
ニシ)

〈アンケート〉
実施期間:2002年7月25日〜8月23日、対象企業数:447社、回答数:268社(回収率:60%)

1 全般概要

 ACAPの継続的な情報・啓発活動により、回答企業のほとんどが「苦情MS」の内容を認知しており、導
入検討中も含め約7割が「苦情MS」の意義を認めている。すでに「苦情MS」の社内構築対応済みの企
業が1割あり、準備中の企業が2割強あった。一方、取り組みにあたり、マンパワー不足や手順・マニ
ュアルがわからず、迷っている企業が過半数あることもが明らかになった。

2 アンケート質問と回答結果

   
[質問内容]
回答数 回答率
■事前質問1
昨年10月ACAPで実施したJIS Z 9920「苦情MS」自社アンケートに回答しましたか。
 1.した
 2.しなかった⇒コメント(               )
163
103
62%
39%
■事前質問2
ACAP編「苦情MS解説と作成のためのガイド」等ガイドブックは読まれましたか。
 1.読んだ
 2.持っているがあまり読んでいない
 3.読んでいない
157
57
52
59%
22%
20%
■問 1
貴相談室にお客様対応マニュアルはありますか。
 1.ある
 2.一応あるが分散していたり、メモ程度
 3.ほとんど無いに等しい
183
57
21
69%
22%
8%
■問 2
「苦情MS」の内容はご存知ですか。
 1.知っている
 2.大体知っている
 3.知らない
123
107
35
46%
40%
13%
■問 3
貴社では「苦情MS」の主旨・内容をどこまで説明されましたか?(「苦情MSの社内認識度」)
 1.担当役員又はトップまで報告した。
 2.法務・総務・品証・営業など(または一部)に報告・説明した。
 3.相談室で内容を検討している段階。
 4.何もしていない。
 5.その他⇒コメント(            )
52
43
105
60
17
20%
16%
40%
23%
6%
■問 4
「苦情MS」の取り組みについてはどのような状況にありますか?
 1.(ほぼ)対応済み。
 2.「苦情MS」に対応するように準備中。
 3.どうするか検討中。
 4.ISO化されるまで様子をみようと思っている。
 5.「苦情MS」に対応する意義が認められない。
 6.何もしていない。
 7.その他⇒コメント(            )
27
57
80
22

44
32
10%
22%
34%
8%
3%
16%
12%
■問 5
「苦情MS]を進める上で困っていることは何ですか。(複数回答可)
 1.マンパワーが不足していて取り組めない。
 2.どこから手をつけ、どうやればいいのか、手順もわからない。
 3.法務・総務・品質保証などに説明しにくく、理解が得にくい。
 4.役員やトップにもっていきにくく、理解が得にくい。
 5.社内報告・説明等の雛型がなく、手順がわからない。
 6.自社の所属する業界ではJISは馴染まない。どこまで必要があ
   るかわからない。
 7.全社規定にまで引き上げ、経営MSにするにはパワー面や社内
   理解等障壁がある。(感じる)
 8.相談室のマニュアルを改定する程度でよいのか、全社規定にま
   でしなければならないかわからない。
 9.監査の規定で、どのように監査すればよいかわからない。
10.自己適合宣言はどのようにすればよいかわからない。
11・第三者認証の規定がないが、認証が必要ではないか。この辺
   をどうすればよいかわからない。
12.その他⇒コメント(             )
89
50
14
16
41
43

89

64

37
35
26

48
34%
19%
5%
6%
15%
15%

34%

24%

14%
13%
10%

18%
■問 6
ACAP又は「苦情MS」PJにしてほしいこと。(複数回答可)
 1.「苦情MS」構築の必要性の理解を得るための資料が欲しい。
 2.社内で取り組むための、参考となる実務マニュアルが欲しい。
 3.システム作りの取り組みで、進んでいる企業の事例や手順のフ
   レームの提示。
 4.進め方や個々の規定についてQ&A集を作って欲しい。
 5.マニュアル作成するために、各項目ごとに事例を交えた詳しい解
   説が欲しい。(ex研修会)
 6.社内へのアプローチ方法、作業方法等のアドバイスが欲しい。
 7.ISO化の進行にあわせ内容を知らせて欲しい。(進捗状況、JIS
   との違いなど)
 8.自己適合宣言の客観的評価をするための手段として、ACAPで
   の監査業務の可能性の検討。
 9.その他⇒コメント(              )
79
146
124

80
74

53
87

32

13
30%
55%
47%

30%
28%

20%
33%

12%

5%
■問 7
上記で言い得なかった事項、意見、困っていること、要望など
⇒コメント(                )


3 分析
 268社がアンケートに回答し、ACAP活動や「苦情MS」についての関心が高いといえる。
  (以下アンケート結果は%で、クロス集計結果は割で表示する)

問1:「お客さま対応マニュアル」は69%の企業で整備されており、“一応ある”も含めると92%となり
    回答した企業のほとんどにマニュアルがあるといえる。クロス集計では、マニュアルありと回答
    した企業の4割以上がトップ又は関連部門に「苦情MS」の説明をしている。一方、マニュアルがない
    企業では、約7割が手付かず状態であった。

問2:「苦情MS」の内容について87%の企業が大体理解しており、認知度は高い。マニュアルありの企業
    の認知度は9割に対し、マニュアルのない企業の約5割が「苦情MS」を知らなかった。

問3:「苦情MSの社内認識度」では、トップや関連部門にまで説明している企業は36%、「お客様相談室」
    のみで検討の段階が40%で、全社的な認知や認知への活動はまだ十分とはいえない。

問4:対応済み10%、準備中22%と計32%の企業が具体的に取り組んでいる。トップや関連部門に「苦
    情MS」を報告・説明済み企業の内、約5割が対応済み〜準備中であり、社内説明の状況が取り組み
    状況にも連動しているといえる。問3で一番多かった「相談室」内で検討中の企業は対応準備中が3
    割、検討中が5割であった。また準備中・検討中・様子見と回答した企業の半数が「苦情MS」の認識
    レベルが「相談室」内にとどまっている。
   対応済み〜様子見まで合わせると、7割以上の企業が「苦情MS」に意義を認めている。しかし、実際
    の着手にあたり、社内各部門にいかに説明するか(できるか)で、実行性に格差が出ている。
    業種別には、「電機」「電力・ガス・電話」での対応済み・準備中が平均値の約2倍と高かった。

問5:「進める上で困っていること」では、「相談室の要員不足」34%と、「全社的なものにするための説
    明・理解の不足」34%の2点が高い要因となっている。
    準備中・検討中の企業は、上記要因の他「苦情MS」に取り組むレベルが「相談室」か「全社」なのか迷
     っている様子が浮かび上がる。
   全般的には、アプローチ方法や手順がわからず、意義は感じつつも迷っているのが実態のようで
     ある。
   一方、対応済み企業は、監査規定、自己適合宣言、第三者認証についての関心が高い。

問6:「苦情MS」プロジェクトへの要望は、実務マニュアル、手順のフレーム、先進企業の事例等が高
    かった。対応済み・様子見の企業からはISO化の最新情報の要望が高かった。
   対応済み・準備中の企業からはACAPでの監査業務の可能性についても関心が寄せられた。

問7:意見・要望・困っていること等では、多くの会員よりコメントがあった。最も多いコメントは
    「人事異動で担当変更のため、苦情MSがよくわからない、これから取り組む、ACAPから情報支援
    が欲しい」という内容。その他では、他の規格(ISO9001・2000等)に取り組み中で、JISにまで
    手がまわらない。
   相談室の規模が小さいので、大手先進企業の事例だけでなく中堅企業での事例も欲しいなど、多
    くの貴重な意見が寄せられた。

4 「苦情MS」プロジェクトチームの今後の課題と施策
 ACAP会員企業が「苦情MS」に積極的に取り組んでいけるよう、プロジェクトチームでは下記課題を今
  年度内に実施していく。

      1.苦情MSの実務に活用できる「手順・フレーム」を作成し、機関誌等で情報提供する。
      2.先進企業事例を例会等で紹介する。
      3.担当者が異動の企業も多いため、ACAP編「JIS苦情MS解説とマニュアル作成のためのガイド」
        の紹介や、昨年のプロジェクトでの「自社評価チェックシート」のACAPのHPへの掲載や小冊子
        化も検討し木目細かくフォロー支援を実施していく。




 

©1998 (社)消費者関連専門家会議