Q4. ISO 10002/JIS Q 10002はどのような内容ですか。

A4.

ISO 10002/JIS Q 10002は、苦情対応について迅速で、客観性を持ち、顧客重視のアプローチで実施し、継続的な改善を行うためにPDCAサイクルを回すマネジメントシステムです。主な内容としては「基本原則」、「苦情対応の枠組み」、「計画、設計及び開発」、「苦情対応プロセスの運用」、「維持及び改善」等が規定されています。
全体の構成は、以下の目次の通りです。

JIS Q 10002の目次

【主要項目の説明】(文頭の数字は規格の目次による)

3.用語及び定義

苦情(complaint)とは、「<顧客満足>製品若しくはサービス又は苦情対応プロセスに関して、組織に対する不満足の表現であって、その対応又は解決を、明示的又は暗示的に期待しているもの。」と定義しています。
【解説】
「クレーム(claim)」とは「要求する」行為であり、「苦情(complaint)」とは概念が異なります。

4.基本原則

組織は苦情対応プロセスを定め、実施することをコミットメントすること、苦情対応のための十分な経営資源を準備すること、誰でも簡単に苦情を申し出ることができること、苦情対応は迅速で客観性を持つこと、個人情報を保護(機密保持)すること、顧客重視のアプローチであること、また説明責任や継続的改善についても遵守することなどが挙げられています。

5.苦情対応の枠組み

苦情対応にはトップマネジメントの明確な方針のもと、組織全体で取り組み、トップマネジメントから、苦情対応管理責任者、苦情対応に関連するその他の管理者、さらには全ての要員に至るまで、それぞれの責任と権限について望ましい在り方を示しています。

6.計画、設計及び開発

苦情対応のためには、明確な目標を設定して、顧客満足のために行動し、人的・物的あるいは研修・教育などの経営資源を積極的に投入することが望ましいとされています。

7.苦情対応プロセスの運用

実施の手順についての詳細な指針が順を追って規定されています。
7.1 コミュニケーション(苦情対応情報へ容易にアクセスできる)
7.2 苦情の受理(苦情に関する情報の記録)
7.3 苦情の追跡(解決までの追跡がいつでも出来る)
7.4 苦情の受理通知(苦情申出者への苦情を受理した旨の速やかな通知)
7.5 苦情の初期評価(受理時の苦情の重大性や即時処理などを評価する)
7.6 苦情の調査(調査は重大な苦情ほど深いレベルで行う)
7.7 苦情への対応(解決策や問題の是正や再発防止の対策)
7.8 決定事項の伝達(申出者を含むすべての関係者に処置などの決定事項を伝達する)
7.9 苦情対応の終了(申出者が処置を受け入れて対応は終了する)

8.維持及び改善

苦情対応プロセスが、形骸化、目的化しないようにするための規程です。
苦情内容や対応の記録やその利用管理の手順の策定、記録の紛失防止、個人情報の保護、苦情の根本的原因を除去するための苦情の分類分析の実行、苦情申出者の満足度の客観的評価、苦情対応プロセス自体が目標を達成し成果をあげているかの監視、利害関係がない部門による内部監査の履行、トップマネジメントによる苦情対応プロセスのマネジメントレビューの実施、苦情の発生予防、製品の品質向上のための苦情対応プロセスの継続的な改善などが規定されています。