ACAP消費者志向活動表彰 「消費者志向活動章」選考結果 

2023年度 第9回ACAP消費者志向活動表彰「消費者志向活動章」

応募件数17件
受章者・活動内容  (五十音順)

世の中の子育てを応援する活動
(江崎グリコ株式会社)

活動内容

子どもの近くにいるみんなで、その成長を育む世の中にしたいと立ち上げた「Co育てPROJECT」。日本初の乳児用液体ミルクを開発販売。「Co育て」ノウハウを無料で提供している「Co育てアプリ」は、延べ34万人以上が利用。行政や他企業とも連携し、「Co育て」の取り組みを推進している。社内では、男女とも育児に参加できる環境と制度を整え、男性の1ヶ月育児休暇取得率は2020年度以降3年連続100%。お客様相談センター内に「子育て相談室」を設立し、管理栄養士や小児科医が無料で年間300件を超える相談を受け付けている。

評価ポイント

自社製品の普及と啓発活動が多面的、有機的に連動し、着実な成果が見られる優れた取り組みである。国内初の液体ミルクの開発販売は、画期的で社会的意義も大きい。行政や他企業など社外と連携している点でも、更なる社会的な広がりが期待できる。

TUK Link Project
(東洋羽毛工業株式会社)

活動内容

羽毛に関する事業を持続可能に循環させていくため、全てのステークホルダーとSDGs達成のための具体的なアクションを起こすプロジェクトを、2019年にスタート。自社製品に限定せず中古羽毛を回収し、独自技術によってリサイクル羽毛を精製、製品化。相模原市など地元自治体や赤い羽根共同募金や取引先等の宿泊施設などとも連携し事業を推進している。中古羽毛の引き取り枚数は約61,000枚、リサイクル羽毛の使用量は約90,000㎏(いずれも2019年3月~2023年8月)。取り組みを通して、羽毛リサイクルについての消費者啓発の推進と羽毛製品の100%リサイクル化を目指している。

評価ポイント

自社の技術や特性を活かした、廃棄物問題解決に向けた有益な取り組みである。地元自治体や取引先、各団体などさまざまなステークホルダーと独自のネットワークを作り取り組んでおり、今後の広がりを期待するとともに、好事例として多くの事業者と共有したい。

お客様の不安を解消し、リフォーム業界の信頼向上を図る取組み
(TOTO株式会社 住宅リモデル相談室)

活動内容

住宅リフォームに対するお客様の不安や不満を解消し、リフォームしやすい環境を整えるため、2018年「リモデルあんしん宣言」を業界内外に宣言。合わせて住宅リフォームについてなんでも相談できる「住宅リモデル相談室」を開設し、電話やメールで対応、状況によっては現地訪問も行い、お客様の問題解決をサポート。また、全国約700のリフォーム業者に工事範囲別価格を調査し、リフォームの適正価格の目安として自社ホームページで紹介。相談室に寄せられたお客様の不安やトラブルを実例集にまとめ、リフォーム業者への配布や講習会を実施し、リフォーム業界全体のお客様対応品質の向上を図っている。

評価ポイント

市場価格がわかりにくいという住宅リフォームに対する消費者の不安感を和らげ、トラブルの未然防止にもつながり、消費者にとっても心強い。また、業界の改革を推進、業界全体の発展も意識した取り組みは素晴らしく、他社への展開も期待したい。

『明治安田発案のサウンドアーチ-声の架け橋-』展開の取組み
(明治安田生命保険相互会社)

活動内容

 「聴こえ」に悩みを持つ人は多く、自社シニア職員の発案により製品化した音声明瞭器「サウンドアーチ」をコミュニケ―ションセンターに設置し、「聴こえ」に悩むお客さまに寄り添った電話応対を実践した。アンケートでは、ご高齢のお客さまの約8割が「聴こえやすくなった」、コミュニケーターも約9割が「会話が通じやすくなった」と回答。「ストレスが減った」、「やりがいを感じる」といった前向きな意見も多数あり、従業員エンゲージメントも向上した。連携協定を締結している地方自治体にも機器を提供し、社会課題の解決に協働で取り組んでいる(2023年9月時点で276自治体に寄贈)。

評価ポイント

従業員の発案からの機器開発、コールセンターに機器を設置し「聴こえ」について話し手側で改善に取り組んだ点など独自性が高い。高齢化が進み「聴こえ」に悩みを持つ消費者の増加が想定される中、機器の寄贈を通して自治体と協働で課題に取り組む姿勢も素晴らしい。

1人1人の想いも大切に『お客様の声からうまれた取り組み』
(株式会社ローソン CS推進室)

活動内容

お客様の声から改善したさまざまな商品やサービスがある中で、そうした商品やサービスについてお客様と共有し、お客様とのつながりを形にし、一緒により良くしていきたいという想いから、2022年1月より「お客様の声からうまれた取り組み」をホームページに掲載。たとえ1件のお客様の声でも、改善が必要と判断した内容について、スピーディに改善アクションを実行し、お客様に伝える仕組みを構築した。代表的な事例を2022年1月から2023年8月までに57件紹介。サイト閲覧数は開設当初の2.1倍、33,024回となり、取り組みを支持する声はSNS でも寄せられている。

評価ポイント

消費者との双方向コミュニケーションを大切にし、改善した結果を共有することは、消費者の満足度向上につながる。多くの事例をわかりやすく伝えている点もよい。消費者対応の基本に立ち返る活動で、多くの企業で共有したい取り組みである。

2022年度 第8回ACAP消費者志向活動表彰「消費者志向活動章」

応募件数13件
受章者・活動内容  (五十音順)

女性の健康に関するヘルスリテラシー向上への取り組み
(大塚製薬株式会社)

活動内容

「女性の健康推進プロジェクト」において、2015 年より生活者の健康リテラシー向上のため、医療関係者、自治体、NPO 法人、企業と広く連携し、様々な啓発活動を展開。地域住民の健康サポートを目指す薬剤師養成プログラムでは「女性の健康支援」をテーマに設定し、2017 年から延べ 5 万人が参加。女性の健康に関する出張セミナーを企業などで実施したり、ウェブサイトでの情報発信にも力を入れている。情報提供サイト「更年期ラボ」は多い日で 1 日約 10 万人が閲覧。また、お客さま対応における専任チームを結成、AI によるサポート、お客さまの声を社内で共有する仕組みを整え、社内でプロジェクトを支えている。

評価ポイント

長年にわたり、ヘルスリテラシーや女性の健康に関する啓発活動に地道に取り組んでいる。活動の対象を女性に限定せず、社会課題ととらえ男性も対象にした出張セミナーを実施したり、若い世代への啓発活動にも力を入れるなど、今後の展開も期待される。

皮膚の様々な悩みを持つ人々のQOLを高める肌着の開発
(グンゼ株式会社))

活動内容

乳がんや腹部手術後の傷の痛みを抱える方、皮膚裂傷に悩む高齢者など、肌が敏感になっている人のセルフケアをサポートする低刺激性の肌着を研究開発。医療・介護の現場の声をもとに、「物理的な刺激を低減」、「化学的な刺激を軽減」、「着用感を含む快適性」を叶える素材や加工方法を採用し製品化。これまで一般消費者が入手しにくかった医療用肌着を通信販売でも展開。敏感肌や乾燥肌など広く一般消費者の悩みの解決にもつながり、消費者のQOL向上を目指す。他企業との連携セミナーも開催し、消費者への情報提供や啓発活動も行っている。(QOL:Quality of Life)

評価ポイント

本業を通した社会課題の解決への取り組みで、医療・介護の現場の声に耳を傾けて研究開発を行い、肌に悩みを抱える消費者のQOL向上に努めている。一般消費者の悩みの解決にもつながる事業としての展開は、多くの企業にとって参考になるものである。

食を通じた社会貢献活動
(株式会社トリドールホールディングス)

活動内容

食の感動体験を提供する企業として、事業を通して地域創生・地域活性化など社会課題解決に取り組む。各地の医療機関や特別養護老人ホーム、子ども食堂へのキッチンカー派遣、うどんと天ぷらの無償提供(2022年5月現在80回、14,380食)やフードパントリー活動(同 6,274品)。丸亀市、渋谷区などの自治体と協定を結び、離島振興や災害時のキッチンカー派遣や緊急物資配送に協力。食育事業の「手作りうどん教室」は2012年~2021年3月末現在40,508名参加。地域の従業員が積極的に活動に参加できるよう、有給のボランティア休暇制度を導入し、社内SNSで活動を紹介している。

評価ポイント

本業を発展させた活動で、連携先も医療機関、老人ホーム、子ども食堂、自治体と幅広い。活動を持続可能なものとするため、従業員が活動に参画し、誇りが持てるような工夫も素晴らしい。将来、業界を巻き込んで取り組まれることを期待したい。

大切な人に、感謝の気持ちをお届けする「エピローグ・レター」
(明治安田生命保険相互会社)

活動内容

生命保険のご契約者からお預かりした手書きのメッセージを、死亡保険金お支払い後に受取人様にお届けするサービス。お金に換算できる貨幣的価値・経済的価値だけでなく、ご家族への気持ちや生命保険に託した想いをつなげるという感情的な価値も提供する。2020年6月にサービスを開始、「エピローグ・レター」への登録は168,393件、メッセージのお届けは875件、感謝の声は2,646件寄せられている。本サービスの紹介動画を作成し、感謝の声をとりまとめた「感謝の声読本」で本サービスの事例を紹介するなど、社内外へのサービスの周知と案内活動の促進を図っている。(各実績は、2022年6月末現在)

評価ポイント

生命保険契約者の生命保険に託した想いを、手書きのメッセージでお預かりし、お届けするという発想に深い共感を覚える。消費者の気持ちに寄り添い、経済的価値を越えたサービスを創造している。今後の取り組みの発展を期待したい。

紙おむつ再資源化に向けた取り組み
(ユニ・チャーム株式会社)

活動内容

使用済の紙おむつを一旦資源化し、また同じ紙おむつに再生する循環型リサイクルシステムの確立を目指す。鹿児島県志布志市、曽於郡大崎町の協力で分別回収と運搬などの実証実験を行う一方で、衛生面、安全性において紙おむつに使用できるパルプのリサイクル技術を確立した。2022年5月に、使用済みおむつから取り出したリサイクルパルプを原料の一部に使った大人用紙おむつの実用を、鹿児島県内の施設で開始。分別回収と運搬について、東京都東大和市、町田市、小田急電鉄株式会社等と連携協力し、実証実験を拡大している。2030年までに10以上の地域でのリサイクル設備の導入を目指す。

評価ポイント

将来的に重要な社会課題を解決する取り組みである。新しい技術の開発、システムの実用化に向けて、一つずつ課題を解決しながら自治体や他企業とも連携し、リサイクルシステムの確立を目指しており、取り組みは途上であるが称賛に値する。今後の展開に期待したい。

2021年度 第7回ACAP消費者志向活動表彰「消費者志向活動章」

応募件数16件
受章者・活動内容  (五十音順)

人と情報を繋ぐ地域のプラットフォームとしての取組み
(株式会社阿波銀行)

活動内容

お客さま視点の銀行サービスを全職員が共有し実践するために「あわぎんのおもい」(コンセプトブック)を作成。本店営業部では、フロアアテンダントがロビーでお客さま一人ひとりに対応するワンストップサービスを展開。2019年12月パブリックスペースを開設し、市民が利用できるギャラリー、起業を志す方向けの製商品を展示・紹介するスタートアップショップ、徳島の文化・歴史・SDGsなどを楽しく学べるスペースなど地域住民の情報拠点や交流の場として提供。地域連携イベント、キッズクラブイベントなどで、開設以来延べ約17,000名が利用。

評価ポイント

地方経済を支える地方銀行として大変厳しい環境の中、お客さま視点のサービスの新しい在り方を示しており、その前向きな取り組みは称賛に値する。さらに消費者ニーズに応え、他行への水平展開も期待される。

世界の発展に貢献した様々な面でのサスティナビリティ経営の推進
(サラヤ株式会社))

活動内容

「衛生・環境・健康」の向上のための商品やサービスの提供、さまざまな環境保全活動を通じて、持続発展可能な社会の構築を目指している。野生生物の生息域をつなぐ「緑の回廊計画」(「サラヤの森」)などの「ボルネオ環境保全プロジェクト」、ウガンダにおける「100万人の手洗いプロジェクト」などの感染症予防活動支援、エジプトの砂漠緑化の取り組み、プラスチック海洋汚染対策への協力、気候非常事態宣言ネットワーク設立への協力など、本業とも関連させた地球の持続可能性を考えた幅広い社会貢献活動を行っている。

評価ポイント

長年にわたってサスティナビリティを経営の主軸に置き、本業を通して環境保全や感染予防など多岐にわたる活動を世界各地で持続的に取り組んできたことは称賛に値する。今後、消費者も巻き込んだ活動など、さらなる発展が期待される。

営利企業では日本初のチャリティー専門ファッションブランド
(JAMMIN合同会社)

活動内容

営利企業として利益を確保しつつ、チャリティーで社会問題に取り組むNPO・NGO法人を支援し、チャリティーが生活の一部となるような文化を日本にも根付かせることを目指している。毎週チャリティー先を変え、テーマに合わせた新商品を販売。自社WEBサイトでチャリティー先のNPO・NGO法人の活動やチャリティー商品の品質、ものづくりへのこだわりについても紹介。2014年4月オープン以来、352団体へ累計5,600万円以上をチャリティー(2021年4月時点)。2019年4月には就労継続支援事業所「三休」を併設し、障がい者の就労支援にも取り組んでいる。

評価ポイント

チャリティーと企業活動を結びつける独自の発想と仕組みが称賛に値する。「全商品がチャリティー対象でどれも700円のチャリティー」という仕組みはわかりやすく、社会課題に対する消費者の行動を後押しする。ものづくりへのこだわりや障がい者の就労支援の取り組みもすばらしい。

ちいさな産声サポートプロジェクト
(ピジョン株式会社)

活動内容

早産や低体重で生まれた赤ちゃん、病気や外的疾患で治療が必要な赤ちゃんなど、専門的なケアを必要とする赤ちゃんとそのご家族を支援する取り組み。その1つとして、2020年9月「日本橋 母乳バンク」を開設。民間企業が全面的に開設をサポートした初めての母乳バンクであり、国内で2ヵ所目。その他、病産院の新生児集中治療室との共同研究で専門的ケアが必要な赤ちゃん向け商品を開発。また、医療従事者など育児の専門家と共に授乳期の課題の解決にあたる「にっこり授乳期研究会」を立ち上げ、後期早産児の母親やご家族の心の支援なども実施している。

評価ポイント

自社で培ってきた知見とネットワークという強みを活かし、本業に関連した社会性、公益性の高いすばらしい取り組みで称賛に値する。支援を必要とするすべての赤ちゃんやご家族に支援の手が届くよう、今後全国での展開が望まれる。

マスクを着用しての口元コミュニケーション実現
(ユニ・チャーム株式会社)

活動内容

マスクで顔が隠れることが、聴覚や言語に障がいのある方にとって円滑な意思疎通を図ることの阻害要因になっているという問題に迅速に対応した。聴覚障がいのある社員からの声で、すぐにプロジェクトチームが結成され、異例の短納期で口元や表情が見える「顔がみえマスク」を開発製造し、口元や表情が見えずコミュニケーションに不安を抱えている方に向けて2021年4月販売開始。現在、障がいのある方だけでなく、保育士や英語教師、司会や講演を行う方など多くの方の支持を得た商品となっている。

評価ポイント

聴覚障がい者の声を真摯に聴き、自社技術を活かして迅速に対応し問題解決につなげた。本商品は聴覚障がい者のみならず多くの消費者に支持され、広く社会のニーズに応える結果につながった。このような企業姿勢が他社へ広がることを期待したい。

選考委員奨励章  受章者・活動内容

世界へ・未来へ~那賀から広がるエシカルループファッション
(徳島県立那賀高等学校)

活動内容

不要となった衣服を回収し、無料譲渡する活動「服活」は、今年で5年目を迎え、昨年度までに4500着、今年は7月末現在1000着を譲渡した。その他、縫製会社の残反からエコバッグや防災リュックを製作し、イベントなどで配布。「古着deワクチン」を利用して海外に送付し、現地の雇用促進やポリオワクチン購入などの国際支援活動にも貢献。地元栽培の阿波晩茶で染めたガーゼマスクを近隣の高齢者施設に提供するなど、様々なエシカル活動を実践している。また、活動を通して、地域社会や環境に配慮できる人材の育成にもつながると期待される。

評価ポイント

高校生がエシカル消費やサステナブルファッションに関心を持ち、持続可能な社会に向けた活動を継続的に行っていることは素晴らしい。今後、企業とも連携し、企業の消費者志向の活動につながることを期待したい。また、将来、社会人、企業人としてもこうした意識を持ち続けていただきたい。

2020年度 第6回ACAP消費者志向活動表彰「消費者志向活動章」

応募件数17件
受章者・活動内容  (五十音順)

小児がんの子どもたちを応援するアヒル型ロボット My Special Aflac Duck の展開
(アフラック生命保険株式会社)

活動内容

入院中の小児がん患児の気持ちを和ませ、周囲との円滑なコミュニケーションの形成を支援することを目的として、2018 年に米国のアフラックが開発したアヒル型ロボット My Special Aflac Duck を、2019 年に日本のアフラックでも導入。長年小児がんに関する社会貢献活動を展開している同社では、チャリティや啓発活動などの間接的な取り組みに加え、小児がんの治療や患児・ご家族の支援に取り組む病院や支援団体を通じて、このダックを患児の手元に直接届けることで、患児とご家族をより近い場所から支援している。2020 年 10 月末までに 25 の病院・団体を通じて、389 羽を贈呈。

評価ポイント

同社は長年小児がん支援活動を展開しているが、今回の取り組みはそれを進化させている。患児とご家族に寄り添う素晴らしい活動であり、称賛に値する。今後の取り組みの広がりに期待したい。

「エシカル消費を広げます」
(大阪いずみ市民生活協同組合)

活動内容

エシカル消費の推進のための商品政策、食品廃棄の削減、消費者啓発などの施策を事業と連動させ推進。エシカルな商品の普及、子ども食堂や社会福祉協議会への食品の提供の他、楽しみながら SDGs が学べるオリジナル SDGs かるたを制作、無料ダウンロード配布。「食の安全」と「食育・食べることの大切さ」を学ぶことのできる体験型ミュージアム「コープラボ たべる*たいせつミュージアム」を和泉市で運営、2019 年 12 月現在来館者は 10 万人を超えている。

評価ポイント

SDGs への取り組みとしてエシカル消費を広げることに、地域を巻き込んで取り組んでおり、目標や実績も数値で“見える化”している。特に、和泉市での体験型ミュージアム「コープラボ たべる*たいせつミュージアム」の運営、泉州弁のオリジナル SDGs かるたの制作などは独自性があり、称賛に値する。

損害保険業界初の通信型ドライブレコーダー保険商品の発売
(東京海上日動火災保険株式会社)

活動内容

通信型ドライブレコーダーを活用した保険商品「ドライブエージェントパーソナル」は、契約者に貸与するオリジナルドライブレコーダーに、事故後の映像の活用のみならず、日常の急操作や車線逸脱を警告する安全運転支援機能、さらに運転者が最も不安に感じる事故発生直後に自動車への強い衝撃を感知し、電話がつながる「事故時の自動発報・通話機能」を備える。「事故が起こる前」及び「事故が起きた直後」の支援を具現化した先進的なサービスで、2017 年 4 月に業界で初めて個人向け自動車保険として販売を開始し、2020 年 9 月末時点で契約台数は約 40 万台。

評価ポイント

最先端の技術を取り入れた画期的な商品の開発。事故時に自動的に通信がつながる等、ドライバーの安心感、また、日常の運転での事故予防にも貢献している。社会問題化しているあおり運転の防止対策への活用等、今後の発展や成果への期待が大きく、称賛に値する。

パティシエを目指すチャレンジド(障がいのある方)を支援する活動
(日清製粉株式会社)

活動内容

パティシエを目指すチャレンジド(障がいのある方)を支援するプロジェクト「神戸スウィーツ・コンソーシアム(KSC)」を 2008 年より社会福祉法人プロップ・ステーションと共催。東京や神戸をはじめ全国で、将来パティシエとして働きたい、スウィーツの世界で就労したいと望むチャレンジドにプロのパティシエの味と技を学ぶ場を提供。延べ 224 名、2016 年~2020 年の 5 年間で 89 名が受講・修了。修了生が講習会で学んだスウィーツが製品化もされている。

評価ポイント

障がい者のプロとしての成長や自立に本業を通じて長年取り組み、実績を出している。障がい者の支援活動に取り組む企業は多いが、障がい者の夢や未来をサポートする活動は公益性も高く非常にすぐれた取り組みで、称賛に値する。

「読む」取説から「観る」取説へ“お客様目線”での取説改善取り組み
(パナソニック株式会社 アプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部)

活動内容

家電製品を使う消費者の多様化、製品の機能アップなどの背景があり、消費者の生の声を聴き実態を把握、改善提案を消費者と一緒に考え、効果を確認するというサイクルを継続して回すことで、「お客様目線」での取扱説明書(以下、取説)や表示の改善に取り組んでいる。2015 年から 2017 年は「読む」取説から「見る」取説へ、2018 年から 2020 年は「見る」取説から「観る」取説へ、2015 年から 2020 年は「見に行く」本体表示から「目に入る」本体表示へと進化を続けている。

評価ポイント

製品事故防止の観点から、消費者目線で利便性を考慮した工夫がみられる。長年の地道な活動により、取扱説明書を着実に進化させてきた努力と業界への働きかけなどの横展開は称賛に値する。今後も効果検証され、ますます発展させることを期待したい。

2019年度 第5回ACAP消費者志向活動表彰「消費者志向活動章」

応募件数25件
受章者・活動内容  (五十音順)

小児がんなどの難病と闘う子どもを支援する活動「アフラックペアレンツハウス」
(アフラック生命保険株式会社)

活動内容

「がんに苦しむ人々を経済的苦難から救いたい」という創業の想いのもと、小児がんなどの難病と闘う子どもたち、そのご家族を支援することを目的に「アフラックペアレンツハウス」を2001年に設立。自宅から離れた病院で治療を受ける子どもとその家族1人1泊1,000円(患児は無料)で宿泊でき、ソーシャルワーカーとの相談も可能な施設で、保険契約者に限らず誰でも利用できる(利用者数は延べ13万人以上 2019年6月末時点)。
現在は全国に3棟(東京・大阪)あり、アフラック、保険販売代理店、その他多くの一般消費者の寄付やボランティアによる支援をもとに、公益財団法人がんの子どもを守る会が運営している。

評価ポイント

「アフラックペアレンツハウス」という日本初の総合支援センターを設立。本業に関連した社会貢献であるとともに、会社からの寄付だけでなく、利用者も少額ながらきちんと負担し、アフラック社員、保険販売代理店、一般消費者の寄付を運営の財源とするという仕組みは、ステークホルダーとの協働、持続可能性という点で優れた仕組みと言える。また、保険契約者に限らず誰でも利用でき、小児がん経験者向けの自立・就労支援にも取り組んでいる。

シャトー・メルシャン事業を通したワインぶどう生産地活性化取り組み
(キリンホールディングス株式会社)

活動内容

シャトー・メルシャン事業を通して、日本ワイン全体の品質向上やワイン産地での産学連携による人財育成プログラムの実施、遊休農地の活用、地元人材雇用機会の創出などにつなげている。また長野県上田市などで、草原・絶滅危惧種再生などの環境保全活動、原料用ブドウ生産地やワイナリー所在地の地域社会・コミュニティの活性化に取り組み、日本ワイン産業の発展とワインづくり・ブドウづくりを支える産地・地域の活性化に貢献している。

評価ポイント

地域社会に貢献し、環境保全に取り組み、業界全体で共に発展していこうとする姿勢が素晴らしい。生産地と密着した活動であり、子どもの農業体験や地域交流の場づくりなど、消費者をはじめさまざまなステークホルダーを巻き込み、事業活動と地域活性化を両立しながら展開している。他の企業にも参考になり、今後の消費者志向経営に資する活動として評価したい。

日本とカンボジアをつなぐ、事業者連動のフェアトレード活動
(徳島県立徳島商業高等学校)

活動内容

収入水準が低く教育環境が十分に整っていないカンボジアの現状を知り、交流校である「カンボジア日本友好学園」と協力し、現地の材料を活かし収益を持続的に還元するフェアトレードに取り組んでいる。徳島県菓子工業組合青年部との連携により、カンボジアのヤシ砂糖の品質向上、農家の自立支援、ヤシ砂糖を使った商品開発を実施。2020年東京オリンピック・パラリンピック関連施設に商品を提供する予定である。

評価ポイント

活動の主体が、これからの未来を担っていく高校生たちであることが、たいへん心強い。地域の事業者団体である菓子工業組合との連携による商品開発や、カンボジアのヤシ砂糖の品質改善と農家の持続的な自立の支援に、フェアトレード活動として取り組み、実績をあげている。また、この活動が卒業生から在校生へ受け継がれていることも素晴らしい。

古紙再生を通じた持続可能な社会づくりを実現(株式会社日誠産業)

活動内容

古紙再生事業を通して、一般の消費者を巻き込んだ参加型、循環型のリサイクル活動を展開している。イベントで消費者が持参した紙パックをトイレットペーパーに交換したり、再商品化したものを利用してもらうなど、イベントへの参加を通して、活動の意義を深め、活発な活動につなげている。

評価ポイント

リサイクル活動にストーリー性があるところがよい。活動の背景や事後の展開などを消費者に伝えることは、活動の理解促進のために有効と考えられ、さまざまな事業や活動での展開が期待できる。古紙再生を、エシカル消費の推進、循環型の事業にもつなげて、消費者参加型の活動としている。

選考委員奨励章  受章者・活動内容

大学生のリスクリテラシー向上をめざした講座運営と書籍発行
(全国大学生活協同組合連合会)

活動内容

大学生を取り巻くさまざまな生活リスクについて、大学生協関係組織や組織を越えた有識者や事業者の協力を得ながら、大学生も講座運営に参画し、大学生のリスクリテラシーを高めることを目的にした「学生の生活リスク講座」の開催(2015年より2019年9月末までに講座やワークショップ等計26回、延べ1014名参加)、書籍「大学生が狙われる50の危険」の出版(2017年に改訂版発行、さらに2020年発行予定)など、大学生が生活リスクを「じぶんごと」として捉えられる啓発活動に取り組んでいる。

評価ポイント

大学生自ら、若年層に向けたリスクリテラシーを広める啓発活動に取り組み、多くの有識者や事業者と連携し、書籍を発行するまでまとめ上げている。書籍だけでなく、大学生ならではの発想でWeb化や連動したセミナーや講座などの展開も考えられる。成年年齢引き下げを間近に控え、今後への期待を込めて「選考委員奨励章」とした。

2018年度 第4回ACAP消費者志向活動表彰「消費者志向活動章」

応募件数12件
受章者・活動内容  (五十音順)

消費者志向経営の推進に向けた取り組み(とくしま消費者志向経営推進組織)

活動内容

とくしま消費者志向経営推進組織は、徳島県内での消費者志向経営の推進を図る目的で2017年10月に発足。
徳島県内の事業者を対象とした消費者志向経営に関するシンポジウム(2017年10月とくしま消費者志向経営推進キックオフシンポジウム等)や、研修会の開催、県民への消費者志向自主宣言事業者の取り組みの紹介(宣言事業者見学バスツアー)など、独自の普及・啓発活動を行い、消費者志向経営の周知に努め、県内の消費者志向自主宣言事業者の拡大とフォローアップ活動の後押しを行っている。

評価ポイント

とくしま消費者志向経営推進組織の強いリーダーシップのもと、消費者志向経営の普及・啓発活動に努め、27事業者が消費者志向自主宣言されたことは、良いモデルになると高く評価する。今後は、消費者志向自主宣言した各事業者に成果を出していただくこと、そして成果を出した事業者が本活動表彰にご応募いただくことを期待したい。

「安全・安心・快適・環境」をキーワードにした『消費者教育』の取り組み
(パナソニック株式会社エコソリューションズ社CS部)

活動内容

「事業を通じて社会の発展に貢献する」という創業以来の経営理念に基づき、「消費者啓発講座」、「学校出前授業」、「親子学び工作講座」などの「消費者教育(社会文化活動)」を全国7か所の拠点で展開しており、5年間で延べ120,586人が参加。
時代やトレンドに合致したコンテンツや実験道具などをローコストで自前開発し、「知識の習得」だけでなく、「生活に活かす」、「生きる力を育む」ことを目的に内容づくりに取り組み、「安全・安心・快適・環境」の意識向上や実践活動に貢献している。

評価ポイント

低コストで自社開発した実験道具、授業後の1週間の省エネルギー実践成果を数値化してフィードバック、参加型授業の展開など多くの工夫をした消費者教育を継続的に展開していることを評価する。
今後は、一企業の取り組みにとどまらず、業界を挙げての取り組みに昇華していただくことを期待する。

持続可能な社会を推進する家電リサイクル法の訴求と環境教育の実践
(パナソニック エコテクノロジーセンター株式会社)

活動内容

2001年4月の家電リサイクル法の施行とともに創業。限られた地球資源を活用し、持続可能な社会を推進するため、家電リサイクル法を訴求するとともに、施設を公開し多くの見学者を受け入れ、参加型・体験型の環境活動を行い、地球環境保護活動に貢献する事業活動を推進。
受け入れは、2001年4月~18年8月末までに約17年間で約18万人。日本のみならず海外からの見学者も受け入れており、17年3月末で累計130の国と地域から訪れている。

評価ポイント

国内外の消費者への情報提供、海外への指導、環境教育、障がい者の就労支援など、家電リサイクル技術の追求による本業を通じた社会貢献を行っていることを評価する。
今後もリーディングカンパニーとして業界を挙げての仕組みづくりに貢献していただくことを期待する。

目の前の小さな命に真摯に向き合う消費者志向活動(ユニ・チャーム株式会社)

活動内容

低出生体重(2500g未満)で生まれる赤ちゃんは10人に1人で、年々増加傾向にある。低出生体重児には特に慎重なケアが必要である。赤ちゃん一人一人に快適な紙おむつを提供するという社会的使命に立ち、赤ちゃんが母親の胎内に近い環境を崩さないポジショニング姿勢を可能にした低出生体重児用紙おむつ製品を開発提供している。
現在、日本のみならず、アジアを中心とした国々で積極的に展開。「小さないのち応援プロジェクト」による寄付活動も行っている。

評価ポイント

ニッチなマーケットではあるが必要不可欠な製品であり、消費者から多くの感謝と高い評価を受けている。日本のみならず海外にも展開していることや、「小さないのち応援プロジェクト」など小さな命を大切にしていることも評価できる。
今後も自社製品など本業を通じての社会貢献を展開していくことを期待する。

2017年度 第3回ACAP消費者志向活動表彰「消費者志向活動章」

応募件数13件
受章者・活動内容  (五十音順)

ソーシャルメディアを活用した能動的生活者支援の取り組み
(花王株式会社 生活者コミュニケーションセンター)

活動内容

インターネット上のQ&Aサイトに企業公式アカウントを開設し、ソーシャルメディア上に顕在化している若年層の悩みを専門的知識に基づき解決する取り組み。
デジタルメディアの普及・拡大により、企業に連絡せず、インターネット上で自己解決を図る若年層が増加する中、自社製品に関してだけでなく、生活者の困りごとの書き込みにも回答することで、自社製品未使用者も含めて幅広くサポート。内容によっては、自社HPも利用し、タイムリーに情報発信している。

評価ポイント

今後ますます重要になるソーシャルメディアに着眼し、時代環境を的確に捉えた優れた取り組みである。
同様の活動を行っている企業は増加しているが、自社または自社の 商品・サービスの枠を超えて取り組みを行っている事例は少ない。
公益性、発展性などに優れており、今後さらに、取り組みの充実、拡大を期待したい。

地域と連携したネットワーク構築による持続可能な共同店舗運営と地域活性化の取り組み
(協同組合勝山サンプラザ)

活動内容

1977年に設立された事業協同組合による共同店舗で、経営理念「地域に生かされている喜びを感謝し、お客様のお買い物を通じて、心豊かな日常生活をお届けします」を掲げ、地域活性化のための活動を展開。
高齢化が進む地域で果たす役割を検討し、関係団体、行政とも連携して、スポーツ少年団や子供会の活動を支援するプロジェクト、高齢者等のコミュニティ機能をもつカフェの運営、買い物を通じて高齢者の運動や認知機能向上を促すリハビリプロジェクト等の取り組みを推進。
後継者がいることを組合加入要件としており、事業活動の継承維持を実現。

評価ポイント

地域の特性を活かしつつ、力を合わせた活動が長く続けられていることを評価。2代目経営者に事業共同組合役員が世代交代して活力を維持している点は、小規模な事業者の事業継承の面でも注目に値する。
市社会福祉協議会および福祉団体、地域の医療機関など様々な団体・機関等との広範な地域連携・協力で、活動とネットワークの輪が広がっており、今後の展開にも期待したい。

シニアのお客様に最もやさしい生命保険会社を目指して
~ベストシニアサービスの取り組み~(太陽生命保険株式会社)

活動内容

70歳以上のシニアのお客様の利便性向上を目指し、「お客様の声」を分析し、サービス・商品・制度・帳票・ホスピタリティ等のあらゆる面を「シニアのお客様視点」で見直す改革・改善の取り組み。
シニア向け商品開発、TV電話を活用した契約内容・意向確認、契約継続中の訪問サービス、訪問での請求手続き、認知症サポーターの配置、シニア専用ダイヤルの設置、認知症予防アプリの開発など幅広い取り組みを推進。

評価ポイント

商品開発から加入時・契約継続中の手続き、従業員教育等、あらゆる面をシニアの視点から見直し、満足度向上を目指す取り組みは、超高齢社会を迎えたわが国において意義深い。
認知症を対象としたサポーター配置や予防アプリ開発など独自の取組みも多く、対象者や介護者の意見を活用したきめ細やかな活動とその実績を評価したい。

靴下廃材の「はぎれわっか」支援活動への取り組み
(タビオ株式会社)

活動内容

製造過程で靴下の先を縫い合わせる時に出るリング状の廃材「はぎれわっか」を提供し、たわしやマット等の作品を作る活動を支援。
リデュース(ゴミ削減)、リユース(再利用)の取組みであるとともに、焼却時のCO2排出削減による環境改善と、手先の機能訓練・リハビリなど健康維持・増進の支援を推進。
特別支援学校や老人福祉施設等への福祉支援、商業施設でのワークショップ開催、作品作りのアイデア情報提供等を行うことにより、2013年度の本格的な活動開始から徐々に拡大、2017年度には約5.5倍の提供量に。

評価ポイント

環境改善および資源リサイクル活動だけでなく、社会福祉支援・地域貢献活動に結び付け、両立させた取り組みであり、興味深く、評価したい。
製品の工程廃棄物を直接消費者に提供し、リユースする仕組みには独創性があり、作る人の立場に立った作品作りの指導・支援等、きめ細かい対応が効果をあげている。
同業者、異業種企業をも交えて連携・協力して展開し、活動の輪がより一層広がることを期待したい。

海外での初経教育を通した社会貢献とISO10002海外お客様相談室への横展開
(ユニ・チャーム株式会社 お客様相談センター)

活動内容

国内の初経教育活動への協力に加え、アジアの新興国において、生理や衛生に関する正しい知識の啓発活動と女性の社会進出をサポートする取り組みを推進。特に、ミャンマーでは、政府公認の初経教育教材を開発。
2006年に国内でのISO 10002の自己適合宣言実施後、アジア各国にその取り組みを展開し、グループ企業のどの国のお客様相談室でも、同質のお客様サービスを提供できる環境整備を進めている。(5ヶ国で自己適合宣言を実施済)

評価ポイント

自社の本業を活かし、インド、インドネシア、ミャンマーという開発途上国で啓発・普及活動を推進し、女性の自立に貢献している取り組みは特筆できる。
国内でISO 10002の自己適合宣言を実施する企業は増加してきているが、その取り組みについて、開発途上国を含む海外諸国に展開し、定着させている点について高く評価したい。

2016年度 第2回ACAP消費者志向活動表彰「消費者志向活動章」

応募件数12件
受章者・活動内容  (五十音順)

多様な主体と連携した消費者教育の取組み
(生活協同組合連合会大学生協関西北陸事業連合)

活動内容

大学生による、次世代の消費者リーダーとなる人材の養成、大学生を対象とする消費者教育活動。
2010年に兵庫県と「次世代の消費者教育・学習に関する協定」を締結、「くらしのヤングクリエーター」認定制度を創設。 2014年に大学生と大学生協職員で構成する「消費者教育推進委員会」を設置し、行政、消費者団体、事業者との連携によるセミナーや学習会を企画立案し実施している。

評価ポイント

消費者市民社会の実現を目標に据え、その核となる人材を育成し、継続的に運営できる仕組みにしている点が高く評価できる。
大学生の積極的な取組みと共に、事業者と消費者の両面を併せ持った特徴を活かし、行政・事業者団体・事業者との連携を進めている点も素晴らしい。
今後、全国的に同様の取組みが展開されていくことを期待したい。

防災ジャパンダプロジェクト(損害保険ジャパン日本興亜株式会社)

活動内容

東日本大震災を契機にNPO法人と協働で立ち上げたオリジナルの防災プロジェクト。 取引先企業や地域の自治体等と協働で取り組んでいる。損害保険事業と親和性の高い重要な「防災」をテーマとしたプログラムを全国で展開し、消費者教育の観点から地域社会に貢献。
将来の担う子どもたちおよびその保護者を対象に、防災について学び、体験する人形劇、ワークショップなど、2015年から2016年7月までに累計約40回開催。

評価ポイント

本業である損害保険事業と関連した消費者向け活動であり、一部門の活動ではなく全社的な取組みとして実施している。
また、地域の自治体やNPO法人、学校など多様な主体との連携により全国的に展開していること、体験型ワークショップであることが素晴らしく、今後の継続と更なる発展を期待したい。

全国支社と消費生活センターとの交流活動(日本生命保険相互会社)

活動内容

お客様サービス向上をめざし、全国支社の担当者が地域の消費生活センター・相談窓口と定期的に交流を図り、お客様の声の収集や情報交換に努めるという取組み。
ISO 10002(品質マネジメント-顧客満足-組織における苦情対応のための指針)の適合宣言を行い、消費生活アドバイザー資格の取得を奨励して消費者視点を企業経営に反映できる人材の育成を目指すなど、全社的体制づくりを実施している。

評価ポイント

消費者の地域の窓口である消費生活センターとの交流は、消費者対応や消費者の声の活用の面で非常に重要である。
その土台として、ISO 10002自己適合宣言や消費生活アドバイザーの育成など、企業全体の消費者志向の基盤や風土を築いていることを高く評価する。今後も、広範囲な取組みを期待したい。

消費者志向経営の風土醸成からお客様接点強化の取組み(パナソニック株式会社)

活動内容

「消費者志向経営」の各職場での醸成とCS向上に繋がるサポート機能拡充の活動。
「消費者月間」に社長メッセージの発信、シンポジウムの開催、ポスター制作など、消費者志向経営の風土醸成への経営陣による全社的取組みを10年間継続。
その一環として、商品別フリーダイヤルの全商品導入、つながりやすさの向上、啓発サイト「家電情報ポケット」での安全・安心のための啓発活動など、社会の動向に沿ったお客様対応を実践している。

評価ポイント

消費者志向の企業風土醸成の取組みを、トップや経営陣が参画し継続・徹底していることを高く評価する。
商品別専用フリーダイヤルの導入やサイトを活用した消費者啓発など、消費者とのコミュニケーションの充実と安全・安心な暮らしのサポートの取組みが素晴らしい。
「消費者志向経営」のモデルとなる優れた事例であり、今後の継続発展を期待したい。

視覚障がい者向け操作マニュアル~操作方法習得のための音声マニュアルの改善取組み~
(パナソニック株式会社 アプライアンス社 ホームエンターテインメント事業部)

活動内容

視覚障がい者の機器操作方法習得の実態を把握し、音声で伝える操作マニュアルの課題を整理して、ICレコーダーのマニュアル改善を実施。
当事者と介助者の意見をもとに、視覚障がい者用音声マニュアルと介助者用画像マニュアルを一体化し、介助者が当事者の疑問点をくみ取りやすく、双方にとってわかりやすいものに改善。
今後、高齢者向けや、絵や動画を用いたマニュアル等にも展開していく。

評価ポイント

視覚障がい者本人のみならず、介助者にも配慮した取組みで、当事者と介助者の双方の声に真摯に耳を傾け、改善に活かした活動は見事である。
視覚障がい者向けだけでなく、高齢化社会においても価値ある取組みといえる。
この改善で得たノウハウを、他の商品・サービスにも活用、展開されることを期待したい。

2015年度 第1回ACAP消費者志向活動表彰「消費者志向活動章」

応募件数15件
受章者・活動内容  (五十音順)

字幕付きテレビCMの放映(花王株式会社)

活動内容

2011年から字幕付きテレビCMを一部導入するとともに、その本格的な普及に向けて取り組みを行っている。国内の難聴者は約2000万人と推定 されており全人口の15%以上に相当する。今後高齢化が進むため、この割合は更に増大していく。この取り組みは、難聴者に対して正しく情報を提供するだけ でなく、病院や電車の中など音が出せない環境でも有益である。そして、この活動が2014年10月の字幕付きCM普及推進協議会の設立にもつながった。

評価ポイント

地道な活動を継続的に実施し消費者志向の企業姿勢がうかがえる。難聴者向けのみならず、高齢化社会に向けての先駆者としての取り組みであり、今後の展開と他企業への影響力に期待したい。

引越事業者優良認定制度(公益社団法人全日本トラック協会)

活動内容

消費者と引越しサービスを提供する運送事業者との間の問題やトラブルへの対策として、2014年より自主的な認定制度である「引越事業者優良認定制度」を創設した。制度化にあたっては、2012年から行政、消費者関連団体、事業者団体等とも連携しながら検討を行ってきたもので、「安全・安心な事業者の見える化」、「引越業界全体のコンプライアンスの向上」、「引越における苦情やトラブルの防止」を目的としている。既に300以上の事業者が認定されている。

評価ポイント

消費者行政と事業者団体の連携の取り組みであること、及び、業界として取り組むことにより中小規模の企業でも学びの機会が得られ、消費者志向経営の輪の拡大につながる。

消費者教育教材を用いた消費者啓発(第一生命保険株式会社)

活動内容

人生におけるリスクとその備えについて、すごろく形式で楽しみながら学習する消費者教育教材。2004年に作成した「ライフサイクルゲーム」の大幅改訂版として、2012年に「ライフサイクルゲームⅡ~生涯設計のススメ~」を開発し、教材の無償提供及び出張授業等、地道に消費者教育支援活動を展開した。2012年4月以降、提供した教材数は15,000セットで、高校を中心に小学校から大学、消費生活センター、民間企業など幅広く活用されている。

評価ポイント

この種の教育教材の先駆けとして教育・啓発に多く活用されているばかりでなく、次のステップを見すえさらに進化している点も評価できる。社員による出張授業も行い、社会貢献度も高い。

ご高齢のお客さまへの対応(明治安田生命保険相互会社)

活動内容

高齢のお客さまへの対応として、「MY長寿ご契約点検制度」、「MY安心ファミリー登録制度」、「お客さま自身で加入内容を確認する取組み」、「地域を見守る活動」の4つの活動に取り組んでいる。特に「MY長寿ご契約点検制度」では、当社から積極的にお客さまの状況を確認し、より確実な保険金支払いにつながっている。また、「地域を見守る活動」では、人命救助や詐欺被害未然防止につながった実例も出てきている。

評価ポイント

高齢化社会だからこそ求められる消費者志向の活動を、生命保険会社ならではの手法で本業の中で仕組み化している。その仕組みと地域の見守り活動としての社会貢献活動を連動させて展開している点はとりわけ素晴らしい。