第2回 カスハラの判断基準 どこからがカスハラか?(公開日:2024年11月)

第2回では、お客様からの苦情やご意見などのお申し出がカスハラに該当するボーダーラインについて考えてみたいと思います。

■カスタマーハラスメントとは

厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル*」によると

「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」

がカスハラであると考えられるとしています。

要約すると、1)要求内容と2)要求行為により3)働く環境が害された場合となります。顧客等からの「著しい迷惑行為」により、就業環境が害されることがポイントといえます。

業種や業態、企業文化の違いにより、顧客等への対応方法・基準が異なることが想定されるため、業界、企業ごとの実態に合わせた対応方針を作成することが望ましいとされています。

■迷惑行為の基準

迷惑行為については、大きく2つに分けることができます。
A. 明らかにカスハラ行為と判断されるもの 
B. 個別ケースに応じた判断が必要となるもの 

A.  明らかにカスハラ行為と判断されるもの
・不当な要求内容や根拠のない言い掛かり、過度な要求をし続ける場合 
・暴力行為やセクハラ行為は法的根拠からも明確な対象と言えます
・「殺す」「火をつける」「SNSでばらまいてやる」などと言われた場合は、威力業務妨害罪や脅迫罪等につながる言葉であり明確な対象となる可能性があります
・「無能」「素人かお前は」「ろくに謝ることもできないのか、人間やめろ」など、個人の人格を攻撃する言葉等を繰り返し発するなどの場合は、侮辱罪や名誉毀損罪に当たる可能性があります

B. 個別ケースに応じた判断が必要となるもの
個別ケースに応じた判断をする際には、客観的にカスハラと判断できる根拠が必要となりますので、それぞれの業界・企業で実態に合わせた具体的な判断基準を作成するとよいでしょう。

*厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」

>>>ACAP正会員・個人会員の方はこちらをクリック! 会員専用ページでコラムの続きをご覧ください