第4回 カスハラ発生を未然に防ぐための8つのフロー(公開日:2025年2月)

カスハラの発生を防ぐためには、難苦情発生時にどう対応するかがポイントとなります。そのための8つの対応フローをお伝えします。発生状況によっては①~⑧の順番が入れ替わることもあります。自社でカスタマイズした対応フローを作成する際の参考としていただければ幸いです。

  1. 状況の把握
  2. 「人」「場所」「時間」の変更を検討
  3. お客様と応対者の距離を置くことを検討
  4. エスカレーション対応
  5. 「時系列」での対応記録の作成
  6. 組織としての対応方針を定める
  7. 対応を「中止」するか継続するかの判断
  8. 対応「中止」の判断に必要な「正当な理由」と「努力した姿」

要求内容や話し方などから難しいお客様だと1次応対者が感じた瞬間が大事です。お客様の言葉を復唱し、声を少し大きくすることで、周囲や上司に難しいお客様に応対していることが分かるようにします。この段階で上司はカスハラを未然に防ぐための組織対応の検討に入ります。

まずは、①復唱の内容、応対者の返答内容、応対者の声や顔の表情から状況把握をします。
そのうえで、②応対する人や場所、時間の変更を検討します。難しいお客様への初期対応の鉄則として「人」「場所」「時間」を変えることにより、お客様が落ち着くことがあります。

この点を考慮に入れたうえで、③お客様と1次応対者の距離を置くことを検討します。応対者に精神的な負荷がかかり過ぎないよう考えることが第一ですが、応対者の主体性やプロとしての責任感を尊重したうえで声をかける、電話対応であればメモ出しをします。

1次応対者が納得したうえで、④エスカレーション対応に切り替え、上司と交代します。このときのポイントとして、主導権はあくまで企業側が持つということです。お客様に「上司に代われ」と言われたからといって交代するのではなく、上司に交代するかしないかの判断は企業側で行うことが大事です。電話応対の場合、上司に交代するのではなく、横についてメモを出し組織としての対応方針を伝える方法もあります。

この段階で意識するべきことはお客様に対する窓口は1人という「窓口1本化」の原則です。上司に交代したら1次応対者に担当窓口を戻すことはしません。もちろん応対の流れで営業部門や生産部門などに対応窓口が変わった場合も同様です。

エスカレーション対応後は多くを話さず聴くことに徹し、要求内容や要求行為を具体的に把握したうえで、状況によっては改めての返答とします。具体的要求があり、直ちに返答を強要されたような場合も、即答する必要はありません。

企業としてできることできないことを明確にするための検討に入ります。検討にあたっては、⑤応対した内容を「時系列」で具体的にまとめます。
この時系列での記録を基に、応対部門だけの判断ではなく、必要に応じて営業や品質管理、間接部門など支援部門と協議し組織としての対応方針を定めます
対応方針とは、⑦対応の「中止」を含めてどこまで何をするかの判断となります。

対応フローの最後にお伝えするのが、「中止」を判断する際のポイントとなります。⑧対応を中止する際には第三者に説明できる「正当な理由」と「努力した姿」の2点が必須となります。言い換えますと、この2点がなければ対応の「中止」をしてはいけないと考えてください。

「正当な理由」と「努力した姿」については次回以降でお伝えいたします。

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